精神病院=収容所? ETV特集「長すぎた入院」

2月3日のETV特集「長すぎた入院」を見た。

以下、うろ覚えながらも印象に残った点をまとめてみる。明日(7日)の深夜、再放送をやるらしいです。

 

目次

 

原発事故で自由を手に入れた患者たち

事故の起きた原発の近辺には5つの精神病院があり、事故によって約1,000人が県外の病院へと転院した。

精神病院に40年間入院していた時男さんは自由になった。転院先の病院で、入院の必要は無しと診断されたのである。

また、46年の入院生活を終えた男性は言う。「地震が無かったら自由になれなかった。ようやく幸せ」。

県外から福島へと戻ってきた患者たちは、矢吹病院へとやって来る。その殆どが、25年以上の長期入院患者だった。

中には50年入院していた男性もいた。退院したい、と言ったが叶わなかったのだ。

 

日本は精神病院大国

・日本は精神病院大国であり、世界の病床の2割が日本に集中している。

・長期入院患者は10万人以上。

・長期入院患者の9割が不必要な入院。

・WHOや国連からは“人権侵害である”と勧告を受けた。

 ※“長期入院患者”の定義を聞き逃した。

 

精神病院は収容所

かつて(昭和)の日本では、精神障害者によって年1,000億円の生産を阻害されている、と言われていた。

更に、精神障害者による犯罪事件が起きたことから、精神障害者は危険、野放しにするな、という風潮が強くなった。(昭和39年)

そして、精神病院では病床数が多い程儲かるシステムとなった。精神障害者は社会の厄介者で、精神病院は収容所という感覚だった。

こうして日本は世界一の患者数となったのである。

 

・清水医師のお話

(清水医師は時男さんが入院していた病院に一時期勤めていた医師。)

時男さんが入院していた病院は、200床に対して医者が一人という常識では有り得ない環境だった。人権が認められていない時代だった。

自分は、医者を増やして退院させる方向性を持っていた。

 

退院を左右するのは家族の意思

本来、患者は医師の許可さえあれば退院できるのだが、社会へ戻るためには家族や地域の受入れが重要であり、受け入れられない場合は退院が難しくなる。

 

・時男さん

時男さんが統合失調症と診断された時、家族からは偏見の目で見られた。

入院のきっかけとなった出来事は、足がつって痛がっていたこと。「また騒がれると困る」と言われ入院させられた。

そのまま40年の入院生活が続くが、症状が良くなり父親に退院させて欲しいと頼んだ時、素っ気ない答えしか無かった。(彼は看護婦の目から見ても退院が可能だと判断されていた)

退院後、時男さんは10歳下の弟に、「家族は自分の事をどう思っていたのか」と尋ねる。弟は「忙しくて」としか答えなかった。「忙しくて、俺の事を忘れていたのか? 俺は孤独だった」

 

・56歳女性 統合失調症のミチコさん

3ヶ月の入院と言われ、そのまま30年間入院した。「いつかは退院できると思っていた」

彼女の父親は、医師から「統合失調症は治せない」と言われた時、自分には仕事があり面倒が見られないので預かって欲しいと思った。

そして現在、病院側から家族へ退院の相談をしたが、父親の返答は「もう60歳なんだし子供じゃないんだから、独立する覚悟がなければ退院させて欲しくない。自分の身体も持たない」というものだった。

 

 

原発事故で自由になった人がいる一方、現在でも全国にはまだ“長すぎる入院”患者が大勢いる。

 

 

感想

精神病院が収容所として利用される原因は、入院患者が居ることで精神病院が儲かるシステムと、患者の家族が退院を容易に拒めること。

つまり、精神病院と患者の家族がwin-winの関係になっている。

自分が医者だったら、患者の家族に感謝されながら儲けることができる。

自分の家族が精神病患者だったら、厄介な奴を預かってくれて有り難い。

分からなくもないが…。

この番組に登場する長期入院患者の家族はそもそも自分の家族(患者)を愛していないんだなと感じた。